2021.04.10

ネジの機械的性質

ネジや植込みボルト、キャップボルトなどを使って適正な設計を行うためには、まずネジの性質を知らなければなりません。こちらでは、ネジの機械的性質についてご説明します。

締め付ける力を重視する

ネジやボルト、ナットで締結されたものを「ネジ締結体」もしくは「ボルト・ナット締結体」と呼びます。

ドライバーやスパナを用いてネジやボルトを締め付ける作業が行われていますが、どんなに高強度のネジを使用したとしても、ネジ締結体の強度が保証されるわけではありません。
ネジ締結体にとって重要なのは、ネジそのものの強度ではなく、「締め付ける力」にあるからです。この力はボルトに作用する力として、「予張力」もしくは「軸力」とも呼ばれています。締め付ける力をきちんと管理すれば、ゆるみや疲労破壊に対する強度が高くなり、信頼性も向上します。
しかし締め付ける力が不十分な場合、ネジやボルトが持つ本来の強度を十分に活かすことができません。
こういったネジの性質を理解し、締め付け作業を的確に行うことが重要です。

外力の作用も考慮する

ネジ締結体の強度を高めるには、部品そのものの強度だけでなく、締結後の全体の強度を考慮しなければなりません。なぜなら締結後のネジ締結体は、何らかの外力が作用する可能性があるからです。

外力が全く作用しないのであれば、締め付ける際にネジが変形しないよう注意して設計すれば問題ないでしょう。
しかし締結後のネジ締結体に外力が作用すると思われる場合は、どの程度の力が加わるのかを予め把握しておく必要があります。一般的に提示されているボルトの強度区分は、外力が作用しない場合を想定していることが多いため注意が必要です。ネジ締結体に用いられる鋼製ボルトや植込みボルト、非鉄金属製ボルト等の機械的性質についても十分考慮しましょう。
2021.04.09

ボルト・ナットの基礎知識

ネジは様々な用途で使用されており、その大半はボルトやナットによる締結用途です。代表的な部品であるボルト・ナットの基礎知識として、それぞれの種類や特徴を分かりやすくご紹介します。

ボルトとは

JISではボルトについて「一般にナットと組んで使われる雄ネジ部品の総称」と定義しています。ネジとボルトの違いは何か?とよくご質問を受けますが、ボルトもネジという大きな概念の中に含まれると考えておけば間違いはありません。

ボルトの頭部にある記号と数字の刻印は、メーカーの識別表記とボルトの強さを示したものです。
例えば「4.8」と刻印されている場合、最初の「4」は「1 m㎡当たりここまではボルトが切れません」という意味の「最小引張荷重」を示します。単位はニュートンで、この場合は100を掛けて約400Nとなります。
右の「8」とは「耐力」のことで、「ここまでの荷重で使用してください」という意味です。単位は%で、この場合は80%となります。つまり、このボルトは40kgf/ m㎡までは切れませんが、ボルトとして機能させるためには32kgf/ m㎡までが限度となります。

ナットとは

ナットは、機械などの組み立てに使用される部品の一種です。中央部分に雌ネジと呼ばれるものが付いており、ボルト・小ねじなどの雄ネジ部品と組み合わせて使用します。
常にボルトやネジと一緒に用いられ、単独で使われることはないというのが最大の特徴です。ナットの種類の中でも代表的なものは、六角柱の形をした「六角ナット」です。
建物の外壁や機器などに使用されているもので、誰でも一度は目にしたことがあるはずです。この六角ナットは1種・2種・3種という3つの種類に分かれていますが、日本で一般的に流通しているのは1種のナットです。1種は片方が面取りされて平らになっており、2種は両面が面取りされています。3種は両面とも面取りされていますが、1種や2種よりも薄い形状となっています。
2021.04.08

ネジを構成する材質【2】

ロックナットやドリルネジなど、鉄でできている製品は様々な材質を配合することにより、さらに機能性を高めることができます。鉄に炭素以外の材質を加えた合金は「特殊鋼」と呼ばれるのですが、特殊鋼にはどのような材質が使われているのでしょうか

ニッケル

ニッケルは耐食性・耐久性に強く、高温と低温、どちらでも強度が高いのが特徴です。主にガスタービンや一部の化学工場などの製品に使われる傾向があり、このことから過酷な状況下でも耐えられるほどの優れた特性を持っているといえます。

クロム

クロムは、鋼の強靭性・耐食性を強くさせるだけでなく浸炭を促進させるため、焼き入れしやすくなる効果も兼ね備えています。鉄に約10.5%以上のクロムを含有した合金は「ステンレス鋼」と呼ばれ、ステンレス製のシンクなどの製品に使われています。

コバルト

コバルトはニッケルと似たような作用があり、化学物質的にもニッケルに近いという特徴を持っています。
主な役割としては「耐熱性の増大」が挙げられ、例えば、鋼を高温で熱した際にやわらかくならないようにする働きがあります。

バナジウム

バナジウムは鋼の硬度・強度を増加させる役割を持っています。これは、鉄と反応することにより結晶粒の粗大化を防ぐことで起こるもので、耐摩耗性の向上にも役立てられています。

モリブデン

モリブデンは、焼き入れの深度(焼きの入る深さ)を増加させる役割を持っており、クロムと併合することで、より効果を高めることができます。そのほかの効果としては錆びの防止、耐熱性の向上が挙げられ、モリブデンが使用される身近なものとしては「料理包丁」が挙げられます。
2021.04.07

ネジはどのように作られるのか?

私たちの生活に欠かせない「ネジ」は、一体どのような方法で作られているのでしょうか。とても小さなネジですが、実は様々な方法によって生産されているのです。主な加工方法は、次の4つに分かれます。

冷間圧造

冷間鍛造機械などを用いて、常温で一定の力を加え続ける塑性加工によってネジを成形する方法です。素材を加熱せずにそのまま加工するため、熱による歪みが少なく加工精度が高いのが特徴です。
他の加工方法と比較して、材料のロスも少なくなります。さらに金型を用いて成形するため、製品の品質を均一化しやすく、加工スピードも速いというメリットがあります。ネジの大量生産においては、最も採用されている方法です。

熱間圧造

素材を加熱してから加工する方法で、高温圧造とも呼ばれています。材料を一定の寸法に切断し、加熱炉で熱を加えた後、熱間油圧プレス・ムトンなどの鍛造機械を用いて成形します。
材料に熱を加えると柔らかくなり、加工しやすくなるという性質を利用した方法です。ただし、あまり高温で加熱すると材料が溶けてしまうため、適切な温度を選ぶことが重要となります。

温間圧造

連続自動加熱装置を用いて、材料を再結晶温度以下の温度(200~300℃)で加熱することによって成形する方法です。冷間圧造でも熱間圧造でも、形状や加工精度などの面で圧迫することが難しい場合に用いられます。ステンレスボルト・ナットの非磁性を維持するため、加工硬化を防止するためには、圧造する直前に電気抵抗加熱機で瞬間的に加熱する必要があります。

切削加工

切削工具を用いて材料を切る、削る、穴を開けるなどの方法で、形を作っていきます。挽き物、削り出しとも呼ばれています。部品の形状や数量、精度などの制約から冷間圧造が難しい、もしくはコスト面で不利な場合に用いられます。
大量生産には向かず、加工によって屑が発生したり、歩留まりが悪くなる場合があります。しかし、少ロット生産やサンプル品に対応しやすく、様々な形状のネジを加工できるのがメリットです。
2021.04.06

アルミ産業の発展性

アルミ産業はまだまだ発展性のある産業です。当社でも発展し続けるアルミ産業に対応できるよう、様々なネジや副資材、機械工具を取り揃えております。ここでは、アルミ産業の発展性についてご紹介いたします。

様々な分野で必要とされるアルミ

「軽量」「錆びにくい」「熱伝導率が高い」などの特徴を持つアルミは、様々な分野で必要とされ、また注目されている資材です。飲料や食料を入れる容器として知られているアルミですが、その軽さから自動車の軽量化のために利用されたりもしています。
自動車だけでなく鉄道や、LED照明器具なども作られ様々な分野で利用され、目覚ましい成長を遂げています。

環境に優しいリサイクル材として注目

アルミはリサイクルが可能な環境に優しい資材です。あらゆる環境問題が上がってきた昨今、個人での取り組みや企業での取り組みが重要視されています。

経済成長期の使い捨て意識は当然なくなり、あらゆる資源がリサイクルされ大切にされています。中でもアルミは、再生させる際にかかるエネルギーが少ないために注目されている資材です。
アルミが溶け出す温度は約600度と低く、他の資材よりもリサイクルにかかるエネルギーが少なくて済みます。また、通常はリサイクルを行うと、リサイクル前の品質よりも劣ってしまうものが多いですが、アルミはアルミ合金のみでリサイクルすれば、リサイクル前と変わらない品質を保てます。

世界で必要とされるアルミ産業

中小企業のグローバル化が進められていますが、アルミ産業界においてもその傾向は見られます。日本の目覚ましい経済成長期がそうであったように、現在発展を遂げようとする国では、輸送用・建築用・包装用と人々の生活にアルミが使用されるようになっています。そこで日本の高い技術が必要とされるのです。
2021.04.05

ネジを構成する材質【1】

ネジや植込みボルト、六角穴付きボルトなどを選ぶ際には「軽量なもの」「高度な耐久性」など様々なご要望があると思います。

ネジは締結を主な目的として使われますが、使用環境や求められる強度・耐久性を考慮し、鉄やステンレス以外にも様々な材質が用いられています。

真鍮

真鍮ネジは黄銅ネジとも呼ばれており、通電性に優れているため、通電部や電子部品の端子止め用に適しています。また、耐食性にも優れており、ニッケルメッキ処理を施すことによって強度の補強・美観の向上にも繋がります。比較的成形しやすい材料です。

チタン

チタンを使用したネジは、銅合金やステンレス鋼と比較して耐食性に優れており、特に海中では白金に匹敵するほどの耐食性を発揮します。純チタンの重さは銅の約2分の1と軽量で、材料の重さに対して強度が高いという特性を持っています。チタン製ネジは家電や精密機器をはじめ、航空機、医療用などに広く用いられています。

マグネシウム

マグネシウムの重さは銅の約4分の1、アルミニウムの約3分の2と、金属の中で最も軽い材質であることが特徴です。熱伝導率が良く放熱性に優れており、外部の衝撃や温度変化による変形はほとんどありません。
近年ではネジを含め、軽量化を目的に使用される量が増えています。スマートフォンやノートパソコンなどの電子機器、航空機、鉄道車両などの輸送機器にも使用されている材質です。

樹脂

金属材料に比べて軽量で、錆が発生する心配もなく、腐食環境における樹脂の締結などに用いられています。また耐薬品性にも優れており、デザインの選択肢が多いことも特徴です。

樹脂製のネジ製品には、ユリヤ、ナイロン、塩ビ、ポリカーボネートなどの種類があります。
2021.04.04

ネジをより安全に使うためには

ネジは縁の下の力持ちのような役割を果たしてくれる一方で、使い方を誤ってしまうと危険が伴います。
ここでは、ネジをより安全に使用するための注意点についてご紹介いたします。

必ず用途に合わせて使用する

ネジの選び方は使用する用途や締付物、締結後の使用環境により大きく変わります。そのため、ネジ購入時に適当に選んでしまうと、ネジ本来の機能が上手く発揮せず、結果、緩みを生じさせる恐れがあります。
ネジを購入する際は、必ず締付物に適したものを購入し、正しい方法で使用してください。
なお、ネジは「締め付ければ締め付けるほど固定できる」との認識が強いのですが、締め過ぎても「ネジ緩み」が起きやすくなり、また、周辺部品の破損にも繋がります。予めご注意ください。

締結部分の定期的な確認

ネジは取り付け時に強く締め付けても、時間が経つに連れて徐々に緩くなるものです。ネジが緩む要因は様々ですが、そのひとつとされているのが外部からの刺激です。

外部からの振動や衝撃は対象物を介してネジにも影響を与えるため、定期的な確認を行って緩みを確認することをおすすめします。
特に、温度の上下が激しい場合や、被締結物がアルミニウム合金などの場合に緩みやすい傾向があります。

溶接に対する誤解

「ネジを溶接すれば、より強力に締結できる」と認識している方は少なくありません。確かに、溶接に適した溶接ボルトや溶接ナットは強力ですが、溶接に不向きなネジの場合、必ずしも機能性が高まるとはいえません。逆に、溶接することによってもろくなる恐れがあるため、溶接に対する誤解は払拭しておく必要があります。
2021.04.02

ネジを長持ちさせるための保管術

DIYがお好きな方や製品開発に注力する企業様は、部品であるネジをストックするものです。しかし、保管の状態によっては、経年劣化が顕著に現れる場合があります。
ここでは、ネジを長持ちさせるための保管術についてご紹介いたします。

温度差に気をつける

金属製のネジやファスナーは、温度差が激しい場所で保管してはなりません。これは、気温の変動によりネジやファスナーの表面に水分が付着し、錆びを発生させるためです。ネジに発生する錆びや付着するホコリは、機能性を低下させるだけでなく安全性を損ねる原因となるため、なるべく温度差が生じない場所に保管することをおすすめします。

湿気に気をつける

上記と同様の理由から、湿気が溜まりやすい場所には保管しないようにご注意ください。また、部品運搬時に気温の変化にさらされたり、湿気が多い場所を通過したりすることで水滴が生じる可能性があるため注意が必要です。
なるべく水滴が発生しないように配慮することが大切ですが、どうしても難しい場合は、乾いた布等で定期的にお手入れするのも手段のひとつです。

荷崩れに注意

ネジ1本の重みは大したものではありませんが、大量のネジとなると、それなりの重みになります。また、ネジは平座金やばね座金など、複数の部品と保存することが多いため、さらに重量が増すことも考えられます。

ネジをはじめとする部品を保管する際は、ダンボールを積み込みすぎず、荷崩れしないように配慮してください。
荷崩れはケガの危険性を高めるだけでなく、落下の衝撃により部品に打痕が生じ、機能性を損ねてしまう恐れがあります。
2021.02.24

工業用副資材である表面保護フィルムの機能と選び方

工業用の副資材には様々なものがありますが、ここでは表面保護フィルムの機能と選び方についてご紹介いたします。

貼り合わせ機能

被着体の素材によって表面保護フィルムを選びます。貼り合わせる際は、気泡やシワが入ってしまわないよう、表面保護フィルムにある程度の張力を与えながら行います。気泡やシワが入ったまま貼り合わせてしまうと、跡に残ってしまったり不具合に繋がってしまったりすることがあるので注意しましょう。表面保護フィルムには様々な種類があり、機械で貼り合わせる場合と手で貼り合わせる場合とで使い分けることが可能です。

加工機能

被着体を貼り合わせたあとに加工を施すためには、表面保護フィルムにもそうした加工に対応できる機能が必要です。加工を施した際に、表面保護フィルムが破れてしまったり、浮いてしまったりしないことが大切です。以下のような加工に対し、最適な表面保護フィルムを選びます。

抜き(パンチング)

抜きを行う際には、一定以上の粘着力と切れ性の良さが必要です。

曲げ(ベンダー)

金属などを特定の形状に変形させる際に、表面保護フィルムもそれに対応しなくてはなりません。

切断(シャーリング)

切れ性の良さが求められます。

レーザー加工

加工時、アシストガスにより剥がれてしまわないよう、粘着力を必要とします。また、レーザー加工を行う際は加工時に出てしまうドロス(加工における残留物)に気をつけなくてはいけませんが、このドロスの付着を低減させる表面保護フィルムもあります。

絞り

伸びやすさを持つステンレスなどを加工する際に、資材と同様に伸びやすい表面保護フィルムが必要です。

保存機能

表面保護フィルムの粘着力は場所・期間・温度・荷重などの保存条件により、変化します。そうした条件を考慮し表面保護フィルムを選びます。

剥離機能

スムーズに剥がせ、糊残りがない表面保護フィルムを選びます。
2021.02.23

ネジの種類

ネジは、DIYに打ち込む個人様や、製品開発に注力する法人様にとって欠かせない部品のひとつです。材料調達のためネジ販売店を利用することがあると思いますが、その際は、ネジの種類について予め把握しておくと調達がスムーズです。
以下にて、ネジの種類について大まかにご紹介いたします。

ナベ小ネジ

数あるネジの中でも最もポピュラーといえるのが「ナベ小ネジ」です。ナベ小ネジと呼ばれる所以は、頭部がナベをひっくり返したような形状になっているためです。丸みを帯びた頭部により厚みがあり、皿小ネジなどに比べてドライバーとかみ合いやすいのが特徴です。DIYでもおなじみのネジといえるでしょう。

皿小ネジ

皿小ネジも、ナベ小ネジと同じくポピュラーな部類に該当するネジです。皿小ネジは、ネジの頭が平らになっているため部材から頭が出ることがありません。このような特性から、主に頭部を出っ張らせたくない製品を開発する際に使用されます。

丸皿小ネジ

丸皿小ネジは、皿小ネジの頭部上面に丸みをつけた形をしています。皿小ネジと比べると平らでない分、十字穴等のくぼみ部分での引っかかりが軽減できる点と、ドライバーも深く入るので、よりしっかり締めることができます。

トラス小ネジ

トラス小ネジは、球の上の部分を切り取ったような形をしています。ほかの頭形に比べ頭部の外径が大きく、つるっとしたきれいな見た目のため、丸皿小ネジと同じく装飾としても使用されます。

バインド小ネジ

バインド小ネジは、頭部が台形になっており、上面は丸みを帯びたフォルムになっています。ナベ小ネジに比べて若干小さめですが、頭部の直径が大きいのが特徴です。主な用途としてはナベ小ネジと同様といえますが、頭部の直径が大きいため状況に応じて使い分けられることもあります。

木ネジ

木ネジは、主に木材の締結に使用されるネジであるため、このような名称で呼ばれています。
金属の締結には向いていないという特徴がありますが、釘に比べてしっかりと木材を固定することができるため、家具の製造においては欠かせないネジといえます。