2021.04.08

ネジを構成する材質【2】

ロックナットやドリルネジなど、鉄でできている製品は様々な材質を配合することにより、さらに機能性を高めることができます。鉄に炭素以外の材質を加えた合金は「特殊鋼」と呼ばれるのですが、特殊鋼にはどのような材質が使われているのでしょうか

ニッケル

ニッケルは耐食性・耐久性に強く、高温と低温、どちらでも強度が高いのが特徴です。主にガスタービンや一部の化学工場などの製品に使われる傾向があり、このことから過酷な状況下でも耐えられるほどの優れた特性を持っているといえます。

クロム

クロムは、鋼の強靭性・耐食性を強くさせるだけでなく浸炭を促進させるため、焼き入れしやすくなる効果も兼ね備えています。鉄に約10.5%以上のクロムを含有した合金は「ステンレス鋼」と呼ばれ、ステンレス製のシンクなどの製品に使われています。

コバルト

コバルトはニッケルと似たような作用があり、化学物質的にもニッケルに近いという特徴を持っています。
主な役割としては「耐熱性の増大」が挙げられ、例えば、鋼を高温で熱した際にやわらかくならないようにする働きがあります。

バナジウム

バナジウムは鋼の硬度・強度を増加させる役割を持っています。これは、鉄と反応することにより結晶粒の粗大化を防ぐことで起こるもので、耐摩耗性の向上にも役立てられています。

モリブデン

モリブデンは、焼き入れの深度(焼きの入る深さ)を増加させる役割を持っており、クロムと併合することで、より効果を高めることができます。そのほかの効果としては錆びの防止、耐熱性の向上が挙げられ、モリブデンが使用される身近なものとしては「料理包丁」が挙げられます。