2021.03.15

冷間圧造用炭素鋼の種類

「キルド鋼」と「リムド鋼」があります。
溶けている素材(溶鋼)を固めるときの方法でキルド鋼とリムド鋼に分かれます。キルド鋼には「アルミキルド鋼」と「シリコンキルド鋼」がありますが、ねじには「アルミキルド鋼」を一般に使用 します。なお、SWCHはC(炭素)の含有量によって数十種類に分かれますが、引張強さの規定はありません。
「キルド鋼」
キルド鋼とは、溶鋼の中にアルミニウムなどを添加し充分脱酸(溶鋼中に含まれている酸素を除去する事)を行って鋳込んだ鋼塊(鋼のかたまり:インゴッド)から作った鋼材のことです。脱酸が充分に効いているので、固まるときガスの放出がなく静 かに凝固します。つまり死んだように静かな鋼というのでキルド (Killed)鋼と呼ばれています。気泡がなく組織は大体均一で優良な性質を備えているため、高級鋼や合金鋼は全てキルド鋼で作られています。

例えば、タッピンネジに使うSWCH18Aなどがあります。後ろにつく18Aの18とは0.18%のC(炭素)が含まれ、Aはアルミキルド鋼という意味です。
「リムド鋼」
リムド鋼は、溶鋼をそのまま鋼塊に鋳込んだものです。脱酸用の添加材を使用していないため、鋳込み及び凝固中にガスを放出し、火花を散らしながら、外側から固まり、表面にリム層という層ができます。リムとは「ふち」のことでリムド鋼とはふち付き 鋼ということになります。キルド鋼に比べると若干不均一ですが使用上は問題なく、一般のボルトやナットに大量に使用されています。
リムド鋼にはSWCH10Rなどがあります。 この場合の10Rは 0.10%のC(炭素)が含まれ、Rはリムド鋼という意味です。