2021.04.02

ネジを長持ちさせるための保管術

DIYがお好きな方や製品開発に注力する企業様は、部品であるネジをストックするものです。しかし、保管の状態によっては、経年劣化が顕著に現れる場合があります。
ここでは、ネジを長持ちさせるための保管術についてご紹介いたします。

温度差に気をつける

金属製のネジやファスナーは、温度差が激しい場所で保管してはなりません。これは、気温の変動によりネジやファスナーの表面に水分が付着し、錆びを発生させるためです。ネジに発生する錆びや付着するホコリは、機能性を低下させるだけでなく安全性を損ねる原因となるため、なるべく温度差が生じない場所に保管することをおすすめします。

湿気に気をつける

上記と同様の理由から、湿気が溜まりやすい場所には保管しないようにご注意ください。また、部品運搬時に気温の変化にさらされたり、湿気が多い場所を通過したりすることで水滴が生じる可能性があるため注意が必要です。
なるべく水滴が発生しないように配慮することが大切ですが、どうしても難しい場合は、乾いた布等で定期的にお手入れするのも手段のひとつです。

荷崩れに注意

ネジ1本の重みは大したものではありませんが、大量のネジとなると、それなりの重みになります。また、ネジは平座金やばね座金など、複数の部品と保存することが多いため、さらに重量が増すことも考えられます。

ネジをはじめとする部品を保管する際は、ダンボールを積み込みすぎず、荷崩れしないように配慮してください。
荷崩れはケガの危険性を高めるだけでなく、落下の衝撃により部品に打痕が生じ、機能性を損ねてしまう恐れがあります。
2021.04.01

規格4-2 タッピンねじ参考下穴表

A型1種 単位:mm

B型2種・AB型4種 単位:mm

C型3種 単位:mm

相手材質は鋼、ステンレス、モネルメタル、黄銅、アルミニウム合金に適用しています。
2021.03.31

ネジを締め付けると緩まないのは

「伸びたネジが縮もうとするから」です。

ネジは締め付けると目ではわかりませんがほんの少しだけ伸びているのです。その伸ばされたネジが縮もうとする力によって、ねじ山のはめあい部に摩擦力が発生してネジはゆるまないのです。ネジを伸ばそうとする力にどのくらい耐えられるかを表すのが「12.9」や「11T」などの「強度区分」です。
2021.03.30

ステンレスは溶接できるのか

溶接加工できますが、特別な配慮が必要です。

〇マルテンサイト系(SUS410など)
急冷による亀裂がおこりやすく、割れなどが発生することもあります。

〇フェライト系(SUS430など)
900℃以上に加熱された部分はもろくなります。

〇オーステナイト系(SUS304など)
溶接金属、および熱影響部の耐食性が悪くなります。
熱膨張率が大きいため、歪みや割れが発生しやすくなります。

なお、切削鋼のSUS303は、溶接には向きません。
2021.03.29

パシペート処理とは

酸素よりさらにCr(クロム)と結びつきやすい硝酸を使って人工的に酸化クロムの膜をつくる処理です。 「SUS410」の熱処理製品の不働態化以外にも、クロム・ニッケル系ステンレス製品の加工度合の大きい部分の黒ずみ除去にも使います。
(タッピンネジの首のつけね・先端、CAPの6角穴etc.)

<参考>
ブライト処理とは?

アルカリ洗浄後ワックスで仕上げる処理。
加工度合の小さい製品(小ネジ、ボルトetc.)におこないます。
2021.03.28

窒化熱処理とは

真空炉に窒素を多く含むガス(アンモニアなど)を入れ、約500℃ で50~72時間加熱します。すると、表面に窒化層ができます。 窒化層自体が硬いので焼き入れや焼き戻しは不要です。

「SUS410」を熱処理するとCr(クロム)は炭化クロムや窒化クロムに変化して少なくなってしまうので、ステンレスの表面を保護する酸化クロムの膜が十分にできなくなります。ですから、人工的に不働態化させる必要があります。 この処理を「パシペート」といいます。
2021.03.27

SUS410とは

熱処理するためのステンレス鋼です。
マルテンサイト系で鉄が約87%と多く、その中に含まれるC(炭素)も多いので熱処理が出来ます。 セルフドリリングスクリューやタッピンネジに使用されます。

一般の熱処理では、ステンレス鋼の場合、Cr(クロム)が炭化して黒く、もろくなってしまいます。ですからステンレス鋼には、「窒化熱処理」を行います。
2021.03.26

SUS316とSUS316Lの違い

SUS316を加工しやすくしたステンレス鋼がSUS316Lです。 SUS316は、硬い金属(Cr、Ni)が多く含まれていて、かなり加工しにくいステンレス鋼です。 そこで、炭素の量を低くすることですこし柔らかくなり加工しやすくなります。

「L」はローカーボンを表します。

SUS316  = Cr18%+Ni12%+Mo2%+C(0.08%以下)
SUS316L = Cr18%+Ni12%+Mo2%+C(0.03%以下)

SUS316とSUS316Lの大きな違いはC(炭素)の含有量ですが
SUS316Lの「0.03%以下」というのは
SUS316 の「0.08%以下」に含まれます。

ネジやボルトなどで316の注文に対して、316Lを納品することは問題ありません。
2021.03.25

SUS316とは

耐食性の良いオーステナイト系ステンレス鋼のなかでも特に、耐食性の良いステンレス鋼です。

SUS316は、SUS304に耐食性のよいMo(モリブデン)を添加したものです。 また、Niの増量によって耐食性をよりよくする効果があります。化学薬品用にも使用されます。

SUS316 = Cr18% + Ni12% + Mo 2%
SUS304 = Cr18% + Ni 8%
2021.03.24

SUS×M7とは

SUS304を加工しやすくしたステンレス鋼です。
SUS304の短所は冷間加工性がよくないことです。
加工によって硬化し、「割れ」や「欠け」が発生することもあります。 また金型や工具の寿命も短くコスト高になります。
そこで柔らかい金属のCu(銅)を添加して加工硬化性を抑え冷間加工しやすくステンレス鋼がSUSXM7です。
耐食性や強度はSUS304と同等です。現在SUS304はヘッダー材としてはほとんど使用されていません。

SUS304 =Cr18% + Ni 8%
SUSXM7=Cr18% + Ni 9%+ Cu3%

ステンレスの鋼種名は、SUS304やSUS410などのようにSUSの後に3桁の数字がつきます。SUSXM7のような鋼種名は独特ですがJIS規格にも認定された鋼種です。

XM7というのは開発中のナンバー名で、その性能がとても優れていたため、通称“XM7”で市場に広く流通されていました。 後にJISに認定されるとき(1977年)には、XM7という名が浸透していたので、そのまま「SUSXM7」が採用されました。