2021.03.26
SUS316とSUS316Lの違い
SUS316を加工しやすくしたステンレス鋼がSUS316Lです。 SUS316は、硬い金属(Cr、Ni)が多く含まれていて、かなり加工しにくいステンレス鋼です。 そこで、炭素の量を低くすることですこし柔らかくなり加工しやすくなります。
「L」はローカーボンを表します。
SUS316 = Cr18%+Ni12%+Mo2%+C(0.08%以下)
SUS316L = Cr18%+Ni12%+Mo2%+C(0.03%以下)
SUS316とSUS316Lの大きな違いはC(炭素)の含有量ですが
SUS316Lの「0.03%以下」というのは
SUS316 の「0.08%以下」に含まれます。
ネジやボルトなどで316の注文に対して、316Lを納品することは問題ありません。
2021.03.25
SUS316とは
耐食性の良いオーステナイト系ステンレス鋼のなかでも特に、耐食性の良いステンレス鋼です。
SUS316は、SUS304に耐食性のよいMo(モリブデン)を添加したものです。 また、Niの増量によって耐食性をよりよくする効果があります。化学薬品用にも使用されます。
SUS316 = Cr18% + Ni12% + Mo 2%
SUS304 = Cr18% + Ni 8%
2021.03.24
SUS×M7とは
SUS304を加工しやすくしたステンレス鋼です。
SUS304の短所は冷間加工性がよくないことです。
加工によって硬化し、「割れ」や「欠け」が発生することもあります。 また金型や工具の寿命も短くコスト高になります。
そこで柔らかい金属のCu(銅)を添加して加工硬化性を抑え冷間加工しやすくステンレス鋼がSUSXM7です。
耐食性や強度はSUS304と同等です。現在SUS304はヘッダー材としてはほとんど使用されていません。
SUS304 =Cr18% + Ni 8%
SUSXM7=Cr18% + Ni 9%+ Cu3%
ステンレスの鋼種名は、SUS304やSUS410などのようにSUSの後に3桁の数字がつきます。SUSXM7のような鋼種名は独特ですがJIS規格にも認定された鋼種です。
XM7というのは開発中のナンバー名で、その性能がとても優れていたため、通称“XM7”で市場に広く流通されていました。 後にJISに認定されるとき(1977年)には、XM7という名が浸透していたので、そのまま「SUSXM7」が採用されました。
2021.03.23
SUS304とは
最も代表的なステンレス鋼です。
オーステナイト系で、18% のCrと8%のNiが主要成分です。 「18-8ステンレス」と呼ばれたりもします。
耐食性は優れていて、機械的性質も良好です。 家庭用品から工業用品まで広く利用されています。
冷間加工によって硬化し、磁性が発生することもあります。
SUS304 =Cr18% + Ni 8%
<参考>
SUSとは、
stainless
used
steel
の頭文字をとったものです。
2021.03.22
SUS303とは
切削加工用のステンレス鋼です。
ステンレスは硬くて、熱がこもりやすく、熱膨張しやすく、さらに、ねばくて切削加工しにくい材料です。
SUS304の切削性を改善するために、P(リン)とS(イオウ) を添加したのが快削鋼SUS303です。
快削鋼SUS416はマルテンサイト系で熱処理が可能です。
2021.03.21
かじり(焼き付き)とは
ステンレスのボルトやナットを電動機などで締め付けると、ねじのはめ合い部で摩擦による熱が発生します。その熱によってねじ部が膨張し、雄ねじと雌ねじが密着して動かなくなる状態を「かじり(焼き付き)」と言います。 トルク(回転力)によっては、ボルトが折れることもあります。
ステンレスは、熱伝導率が低く、SUS304…鉄の1/3
魔法瓶、お鍋、お風呂などに使用
熱膨張率が高いため、 SUS304…鉄の1.5倍
鉄と同じ程度の摩擦でも熱が発生しやすく、その熱による変形や歪みも大きくなります。
フッ素系樹脂(無色透明)を表面にコーティングすると ねじ部の摩擦が小さくなり、かじり防止となります。
2021.03.20
ステンレスの磁性
代表的な鋼種で例をあげますと
マルテンサイト系
SUS410=13%Cr + 87%Fe 磁石につく
フェライト系
SUS430=18%Cr + 82%Fe 磁石につく
オーステナイト系
SUS304=18%Cr + 8%Ni + 74%Fe 磁石につかない
SUS304が一番代表的ステンレス鋼ですから、ステンレス は磁石につかないというイメージが一般的です。
Fe(鉄) →磁性 大
Ni(ニッケル) →磁性 小
Cr(クロム) →磁性 無
磁性の大きいFe(鉄)の含有率が低くなるとステンレスは磁石につかなくなります。 しかし、SUS304でも条件次第で磁石についたり反応したりすることがあります。 ステンレスを加工すると酸化クロム膜を再生するためにCr(クロム) が表面に出てしまい内部の含有率が低くなります。すると相対的にFe(鉄)の含有率が高くなり、磁性が生じます。これは加工度合の大きい箇所で部分的にもおこります。
例) ワッシャー(圧延加工・プレス加工)
6角穴付き止めネジ(穴圧造加工・全身ねじ転造加工)
単重に対して加工度合が大きい商品は磁性を生じることがあります。
2021.03.19
Cr(クロム)の特徴
Cr(クロム)は鉄より酸素と結びつきやすいという特徴があります。
鉄に12%以上のCr(クロム)を含ませると、鉄が酸化するよりも先にCr(クロム)が酸化し、表面全体に酸化クロムの膜ができます。 この膜は、無色透明でとても薄い(約50Å Å=1/100000000cm) ので肉眼では識別できません。しかし、この膜は化学的に安定で (化学変化しにくい)とても強固です。また、ち密で酸素を通さない ので酸化鉄(さび)の発生を防ぎます。 この、酸化クロムの膜で表面が保護されている状態を「不働態化」 していると言います。
この酸化クロム膜は加工・切断などでキズついても、Cr(クロム)が適量(12%以上)あれば空気中の酸素と結合してすぐ再生します。 ただし、この膜を再生するときにステンレス内部のCr(クロム)の含有率は低くなっていきます。
2021.03.18
Cr(クロム)の働き
Crは「さびを防ぐ」働きがあります。
「さびない鉄」がステンレスです。 しかし、条件次第ではさびてしまいますので正確には 「さびにくい鉄」ということになります。 (さびの程度はSUS410でも鉄の1/200) 鉄の「さび」とは、鉄と酸素が結びついて「酸化鉄」が発生することを言います。
2021.03.17
ステンレスとは
「12%以上のCr(クロム)を含む鉄の合金鋼」です。
つまり、ほとんど鉄です。 ですから、鉄の特性は一見隠れていますが、条件次第で顔を出します。 (さびる・磁石につくetc.)
マルテンサイト系 SUS410=Cr13%
フェライト系 SUS430=Cr18%
オーステナイト系 SUS304 =Cr18%+Ni8%
SUSXM7=Cr18%+Ni9%+Cu3.5%